最強装備

主治医

治療を始めるにあたって、最初に装備しておきたいのは「信頼できる主治医」です。

心療内科と精神科のどちらが良いかについては、あまり気にする必要はありません。

主治医探しのポイント

  1. 通いやすい範囲で探す
    「発達障害 精神科」などで検索し、通える範囲にあるクリニックを選びましょう。
  2. 口コミに振り回されない
    口コミはよほど悪い場合を除いて、あまり気にしすぎないことが大切です。重要なのは「自分と医師の相性」です。
  3. 違和感があれば転院を検討
    実際に数回通ってみないと合うかどうかは分かりません。もし以下のような違和感を感じた場合は、転院を検討しましょう:
    • 大きな声で怒鳴る
    • 問題行動そのものではなく、本人を責める(人格の否定)

主治医選びの判断材料:「適切な投薬」

発達障害や精神疾患の薬は多く、自分に合う薬を見つけるには試行錯誤が必要です。
そのため、医師が「適切な投薬」をしてくれているかが重要な判断基準となります。

具体的には以下のような対応が適切と言えます:

  • 副作用がひどければ減量を提案してくれる
  • 効果が出るまで時間がかかる薬については、焦らず継続を勧める
  • 症状が改善すれば減薬を提案してくれる

逆に、ひどい副作用があるにもかかわらず特定の薬に固執する、または薬の必要性があるのに処方を拒む医師は避けたほうが良いでしょう。

まとめ

主治医選びは「自分に合うかどうか」を軸に考えることが大切です。「違和感を感じないか」「適切な投薬を行っているか」に注目し、自分の治療に安心して向き合える環境を整えましょう。

体験談:自分に合う薬を見つけるまで

発達障害の症状に対して薬を処方されましたが、その薬は副作用が強く、血圧を下げる作用がありました。この薬は簡単に減量できるものではなく、徐々に増量していく中で、低血圧による症状が現れ始めました。その影響で日常生活にも支障をきたすようになったのです。

主治医に相談しましたが、「いずれ慣れる」と言われ、最終的には体重に対する最高用量を超える量まで処方されました。その結果、血圧はさらに下がり、看護師に「転倒の恐れがある」と心配されるほどの状態に。そこで初めて「このままでは自分が危ない」と感じ、転院を決意しました。

転院先では減薬を行い、別の薬に切り替えることで、自分に合った薬を見つけることができました。もちろん完璧な薬、副作用が全くない薬は存在しません。しかし、薬を飲むことで以前よりも生活に支障をきたすようになってしまっては意味がありません。

障害者手帳

発達障害に該当する場合、取得できるのは「精神障害者保健福祉手帳」です。この手帳を持つことで、生活や仕事の中でさまざまな支援やメリットを受けることができます。

メリット

  1. 税金の軽減
    所得税や住民税が軽減されます。
  2. 公共料金や割引の活用
    電車・バスの運賃割引や、障害者割引を提供する事業者が増えています。
  3. 障害者雇用の利用
    就職活動の際に障害者雇用枠を利用できます。
  4. メンタルの安定
    発達障害は周囲に理解されにくい特性があります。この手帳は、自分の状態を証明する手段になり、必要な場面で役立ちます。

デメリット

特にありません。手帳を持っていても公表する義務はなく、自分の意思で利用範囲を決められます。

有効期限

  • 有効期間:2年
  • 更新は期限が切れる3か月前から可能です。リマインダーアプリなどで忘れない対策をしておきましょう。

申請方法

  1. 申請先
    • 市町村の担当窓口(地域によって異なります)。
    • 「◯◯市 精神障害者手帳 提出先」と検索すると詳しい情報が得られます。
    • 不明な場合は最寄りの区役所や市役所で尋ねると丁寧に教えてもらえます。
  2. 申請条件
    • 「6か月以上精神障害の状態にあり、日常生活または社会生活に制約のある方」
    • 発達障害と診断されてから6か月以上経過している必要があります。過去の初診日について、現在の主治医と確認しましょう。
  3. 必要書類
    • 障害者手帳交付申請書
      (申請窓口で配布。自治体ごとに記入内容が異なるため、窓口で記入するのが確実です。)
    • 診断書
      (通院中の病院で依頼。対応が難しい場合は、転院を検討してもよいでしょう。)
    • マイナンバーカード

または個人番号記載書類と身元確認書類(免許証、保険証、パスポートなど。)

補足情報

障害者手帳の申請と同時に、自立支援医療の申請も可能です(詳細は別途説明します)。
自分の生活や環境に合わせて手帳をうまく活用し、必要な支援を受けていきましょう!

自立支援医療

自立支援医療は、精神障害(発達障害を含む)を理由に通院している方の医療費負担を軽減するための制度です。

メリット

  • 医療費の負担が1割になる
    通院や処方薬にかかる費用が、通常の負担額よりも軽減されます。所得に応じて月々の負担額に上限が設定されるため、経済的負担を大幅に減らせます。

デメリット

  • 特に大きなデメリットはありません
    会社や学校に知られることもないため、プライバシーは守られます。

注意点

  • 申請した病院や薬局でのみ利用可能です。
    転院や薬局の変更があった場合、新たに申請が必要になることがあります。

有効期限

  • 有効期間:1年
  • 2年に1度、診断書の提出が求められます。

申請方法

  1. 申請先
    • 市町村の担当窓口(障害者手帳の窓口と同じことが多いです)。
  2. 申請条件
    • 精神疾患の治療を目的として通院していることが条件です。
    • 障害者手帳の有無は問われません。全年齢が対象となります。
  3. 必要書類
    • 申請書
      (申請窓口で配布。自治体ごとに記入内容が異なるため、窓口で記入するのが確実です。)
    • 診断書
      (発行から3ヶ月以内のものが必要です。主治医に依頼しましょう。)
    • 保険証の写し
    • 世帯の所得状況を示す書類・同意書
    • マイナンバーカード

または個人番号記載書類 と 身元確認書類(免許証、保険証、パスポートなど。)

補足

自立支援医療は、経済的な負担を軽減し、治療を継続しやすくするための重要な制度です。更新時期や申請条件を確認し、忘れないようリマインダーを設定するのがおすすめです。
また、障害者手帳を持っている場合、手帳と合わせて使用することでさらに支援を受けやすくなることもあります。ぜひ活用してください!

合理的配慮

合理的配慮とは、障害がある人が他の人と平等に社会で活動できるように、環境や方法を調整・変更することです。これは行政機関や企業に義務付けられています。

合理的配慮は、困りごとの多い私たちにとって非常に助けになるものです。しかし、相談するには勇気が必要なこともあります。それでも、声を上げることで、自分自身だけでなく同じように困っている仲間たちのためにも相談のハードルを下げることにつながります。

交渉のポイント

  • 申し訳なさを感じすぎない
    自分の困りごとを無視してしまうと、自身も疲労し、周りも心配します。特に仕事においては支障が出れば当然、結果的に自分含め周りも困ることになります。
  • 配慮されて当然だという態度を避ける
    合理的配慮は私たちの正当な権利です。しかし、「配慮されて当たり前」といった意識は、周囲のヘイト(反感)を買いやすいです。合理的配慮の本来の目的は、他の人と平等に社会行動を共にできる環境を作ることです。大切なのは、相手に配慮をお願いする際の伝え方や態度です。
  • 相手と良好な関係を築く意識を持つ
    初めから敵意を持つ人は少なく、多くの人があなたと良い関係を築きたいと思っています。怖がらなくて大丈夫です。逆に、こちらが高圧的な態度を取ると、相手は嫌悪感を抱き、協力を得にくくなります。
  • 具体的に伝える
    相手はあなたが何を必要としているか分かりません。
    「こういう配慮をしてくれれば、これができる」となるべく具体的に交渉しましょう。
  • 注意点
    合理的配慮は「自分の思い通りにする」とは違います。相手ができる範囲内での調整が基本であり、配慮の内容は相手との相談によって決まります。

合理的配慮の内容例

学校での例

  • テスト時間の延長別室受験
    (特に入試の場合は事前に確認しましょう)
  • 講義の録音許可
  • 講義資料(レジュメ)の事前提供依頼

職場での例

  • 集団面接の個別面接への変更
  • 勤務時間の調整
    (短時間勤務、出勤時間を遅らせる、休憩時間の延長など)
  • サングラスや耳栓の着用許可

例文

  • NG例:「自分は障害があるんだから、こうしてくれて当然ですよね?」
  • OK例:「このような配慮をしていただけると、もっと業務に集中できます。ご検討いただけますか?」

合理的配慮は、権利であると同時に対話と信頼を通じて築くものでもあります。
「配慮が必要な理由」をしっかり伝えつつ、相手にも協力してもらえる雰囲気を作ることで、より良い関係が築けます。

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